2016年1月 浜名湖一周 LSD

ピクニック気分でスタートした浜名湖一周(ハマイチ)ランニングの備忘録。
実際は半分以上ウォーキング。

距離:52.75 km
時間:8時間32分


走った人:
- 30代
- 普段は10kmのランニングを週1-2回
- ハーフマラソン過去2回(2時間+)

当初の予定:
JR弁天島に集合し、駅のロッカーに荷物を保管。7分/kmのペースで浜名湖周遊自転車道を反時計回りでLSD(Long Slow Distance)。水分補給は自販機で、エネルギー補給はコンビニで。弁天島にゴールした後は、弁天島温泉の立ち寄り湯で汗を流し、浜松駅に戻って一杯やる。

天気は快晴。気温は12℃前後。風速5~7 m/s。

反省点:弁天島駅にロッカーが無かった。

事前にウェブで調べた時点では、JR弁天島駅にコインロッカーがあるはずだった(写真を掲載しているウェブサイトもあった)。しかしどこを探しても無い。9時になると駅の窓口が開いたので、駅員さんに確認するも「無い」とのこと。背負っているリュックサックは立ち寄り湯の後に飲みに行く時用の私服でパンパンだ…。

海水浴場にコインロッカーがあるのでは、と思い出し行ってみると、あった…

ただし錆び錆びでドアの開閉もおぼつかない。鍵を閉めたら最後、開かなくなるのではと思ってしまう。ヘトヘトで帰ってきて、もし開かなかったら悲惨だ。そして一つ一つ開けてみると、何か入ってる…。誰かの服が大量に押し込まれている。隣もだ。これ以上は怖くて無理。

5分ほど考えリュックを背負いながら走ることを決断した。

リュックが揺れないように、ベルト部分を持って体に押し付けるため、腕をふれない。背中だけ汗がひどく、タオルを挟む。何より重い。ただ、カメラを持ち運ぶことができ、予定のなかった写真撮影が可能になった。

ガーデンパークまでは意外と快調。振り返ってみると弁天島ホテル群が小さく見え、もうこんなに進んだのか、と感じる。ただガーミンを見るとまだ3kmちょっとしか走っていない。

中之島あたりはかなりの強風。右側が開いている地形では急に風が強くなる。これはこの後の行程もずっと同じだった。この風が続くとかなりキツくなるが、実際に風が強くなる場所は部分的だった。

村越海水浴場を過ぎると部活中の高校生たちとすれ違う。中浜名湖を見わたす走路に来ても、対岸は意外と近くに見える。この時点で約6km。本当に一周50km以上もあるのかな?と疑問に感じてくる(まだ余裕がある)。

車で走ると素晴らしく爽快な村越舘山寺道路(県道323号線)の西側に自転車道が分岐して存在し、舘山寺温泉まで平坦で安全な道をランニングすることができる。

何度も訪れた舘山寺も、この角度からは見慣れていない。

弁天島温泉街に着いておよそ12km。ここで最初のコンビニだが、寄るのはまだ早い。

課題:弁天島温泉街-舘山寺温泉街の間に自販機があまり無い。

約5km地点にある駐車場の自販機(もしくはガーデンパーク)をパスすると、この12km間で自販機が無い。真冬だったので問題なかったが、汗をかく時期の12kmが水分補給なしになってしまうと、かなり厳しい。真夏の夜にそれくらい走った時も、水分補給をしなかったせいでふらついたことがある。

遊園地パルパルを抜け、内浦の南沿岸を走ると動物園が見えてくる。浜松駅に向かう遠鉄バスを見ると、ここで終わって帰りたいなという気持ちがどんどん強くなる。というのも、ここからはついさっきまで見えていた湖が消え、目の前が山になるからだ。

山に入ると急に心細くなる。自分の走っている場所が感覚的に分からなくなるからだ。高低差もあり、歩道がほとんど無い。本当にここが周遊自転車道なのだろうか。

そして湖が見えると救われた気持ちになる。

そしてしばらく走ると……自転車道にぶつかった。

反省点:動物園を過ぎた後は320号線に沿って走らない。

北に向かっていく分岐は大草山に登ってしまうのではないかという不安から320号線を走ったが、それは自転車道ではなかった。光産業創成大学院大学の西側を抜けるルートが存在した。次回は、事前にこの場所の地図をよく確認する必要がある。


この辺りで約18km。超スローペースとはいえ、ハーフマラソンに近い距離のなかで、余分な坂道を走ってしまったことにかなりショックを受ける(疲れがではじめる)。

とはいえ、ここからは見晴らしのいい引佐細江湖沿岸だ。ひたすら突き進む。ハゼ釣りで有名な都田川河口など、いくつか風が強烈なところがあった。

ホンダ細江工場付近でおおよそ21km。ここからは自分にとっては未知の領域だ。

課題:自販機が無い。まぶしい。コンビニも無い。

本当に自販機が少ない。夏だったらどうしてたのだろうと怖くなる。今の寒さはリュックの中にある服でしのげるが、夏の暑さはどうしようもない。そしてまぶしい。これも夏なら帽子があったほうがいいと思う。今回日焼けはほとんど大丈夫だったが、これも季節によっては大変になりそうだ。そしてここまで、舘山寺以外にコンビニが無い…。これは信じられなかった。リュックには食料品が一切無かったため、ここまでスポーツドリンク以外のエネルギー補給なし。思考回路が止まっていく。

寸座に近づいたあたりからマリーナ施設とともに、自販機が急増する。寸座には旧寸座ビラ(現ライブチャーチ寸座)の他、喫茶店や洋食屋が点在している。どこか懐かしい雰囲気が漂う。一方で、そろそろカメラを出すのも億劫になってきている。

思考回路がさらに止まっていく。浜名湖サービスエリアに入れるらしき脇道があったが、「余分な道は通りたくない」という感情だけに支配されていく。

静岡県石油発動機愛好会というレアイベントを横目に、おなじみ三ヶ日青年の家。

そして、この大崎半島は、湖が見えない道を不安にかられながら通過した。後から走った道を見てみると、それほど間違った選択はしていなかったと思われる。

しかし、この時、「暗くなってくるし、もう湖が見えなくなる道を通るのはやめよう」という気持ちが強く残ってしまい、それがこの後の二番目に大きなミスにつながる。(一番のミスはリュックを背負っていること、、)

海岸沿いの小道を行くうちに景色がおかしくなってきた。頭のなかには「となりのトトロ」の"まいご"の曲が流れ続けている。

もう完全におかしいことは分かっていても、体が引き返そうとしない。

「ここまで来たら、もう戻れない」。それ以外考えられなくなり、膝がガクガクにも関わらず、岩を乗り越えてひたすら突き進む。そして岬を曲がって見えた景色は、さらに何百mも続く同じ風景だった。ここで何かが切れた気がした。もう浜名湖一周とかどうでもいい。もうどうでもいい。喪失感のなか、来た道を引き返していく。途中、山に入っていく分岐がある。運良くおじさんが通り、聞いてみるとこの道でいいみたいだ。その助言が無く山道に入っていけばもう終わっていたと思う。方向感覚が完全になくなっていた。

走行履歴を見ると、この時の迷走具合がよく分かる。

反省点:歩道のない大通りも危ないが、山中の小道はもっと危険。

「沿岸なら大丈夫」という根拠の無い自信はこの迷走で吹き飛んだ。

もうどうでもいい、とは言うものの、離脱する術がない。このあたりで、だいたい約6時間、40km。道路沿いのみかんの直売所でおでんも売っているというが、とにかく米を食べたいという気持ちでパス。

その後、ついにジャージでも入れそうなお店を発見。

カレーライス(750円)を注文するも、結構な大盛り。お腹空いているように見えたか、、、。ペロリと平らげるも、足に加えてお腹も重くなる。お店のお姉さんに地図を見せてもらい現在地を確認。天浜線の駅(知波多)があと2-3kmのところにあるということで、それで帰ることを決意する。

ところがエネルギーを補給できたからか、だんだん気持ちが上がってきて、「天浜線でわざわざ新所原まで行くのも面倒だ、JR鷲津駅までは進もう」という思いに変わってきた。

そしてついてに…「弁天島まで13km」。この看板を見て、一周することを再度決意する。

この辺りからようやくコンビニもちらほら見えてきて、路頭に迷う心配もなくなってきた。とは言うものの、いつものランニング時と比べ、現在のスピードはかなり遅い。ウォーキングとそれに近いジョギングで、だいたい10-12分/kmで進む。

鷲津、一周、鷲津、一周、鷲津、一周、と繰り返しながら時間が過ぎていく。

反省点:鷲津駅を逃避するために、地味に道を間違えた。

県道301号線は鷲津駅に向かう道と、バイパスに分かれている。鷲津駅を振り切るためにバイパス側を選んだが、途中からかなり道が狭くなる。後から見ると、鷲津駅側を走ったほうが良い道だったことが分かる。

新居到着。これまでのハーフマラソンでもそうだったが、最後の数キロは本当に長く感じる。

そしてついに弁天島駅に到着。

立ち寄り湯は開春楼とTHE OCEAN(ジ・オーシャン)があるが、今回は後者を選択。1000円でタオル付き。内湯と露天の湯船があるが、露天はお湯張りセルフサービス。コストパフォーマンスは悪いが、疲れきった心と体にはこれが何よりも効く。

※追記
漫画・アニメ版の『ゆるキャン△』では開春楼をモデルにした弁天楼の立ち寄り湯のシーンがあった。しかし、開春楼は2018年に閉館してしまった。2021年に放送されたドラマ『ゆるキャン△2』でこのシーンはどうなるのだろうと見ていたら、THE OCEANに立ち寄っていた。




立ち寄り湯の後は、東海道線で浜松駅へ。最後の締めに一杯やっていくつもりだったが、いまいち食欲がない。数分迷ったあげく、今回は家路につくことにした。

反省点:ゴール直後にスニッカーズを食べない。

気持ち悪くなる。

今回は初めての試みをピクニック気分で決行してしまったが、反省点を活かせば次回はあと2時間弱くらい短縮できそう。次回は日が沈む前にゴールし、打ち上げまでしっかりやって帰ることを目標にする。

ノウハウを溜めていけば、50kmという数字の割にとても気持ちよく一周できるのではないかと、終わってしばらく経った今は思っている。